防災訓練への参加
 地域や職場などの防災訓練には、できる限り参加することが大切です。当日の訓練への参加の仕方について防災担当者(自治会や区市町村の防災課)と話し合い、介助者などを決めておきましょう。その結果、避難などに不安や困難が予想される場合は、改善を図る必要があります。自分で対応できない場合には、区市町村、職場管理者などに改善を依頼しましょう。

避難経路を確かめましょう。

(1) 非常口を確かめ、実際にそこから出てみましょう。非常口がない場合には、ふだん利用している出入口の他に非常用出口を決めて、そこから出られるかを試してみましょう。
(2) 事前に作った避難経路図に従って避難してみましょう。途中の危険な箇所などを点検しておきましょう。
(3) 居住地域の「避難所」まで実際に行ってみましょう。
(4) 避難所から二次避難所までの転所訓練も実施してもらいましょう。


防災手帳を持って参加しましょう。手帳を示して依頼する必要がある場合には、メッセージなどが伝わるかどうか実際に試してみましょう。
SOS発信用の装置を実際に使用してみて、家の外にいる人にどの程度届くかを確かめておきましょう。
「避難所」内の受付、相談窓口、障害者エリアなどの生活する場所を確かめておきましょう。
避難所の障害者エリアおよび二次避難所の使い勝手について実際に試してみましょう。トイレの使い勝手や自分の障害にあった生活の場が設けられるかなどを区市町村の担当者に相談しましょう。また、改善についての意見を伝えましょう。
訓練の機会を利用して、近隣の人たちとのコミュニケーションを深めておきましょう。自分の障害について理解してもらい、どんな手助けが必要なのかを話しておくことは、いざというときに役立ちます。


視覚障害のある人は?
  • できれば自分のメンタルマップに従って避難し、危険な箇所を点検しておきましょう。
  • 誘導を受ける場合には、肘や肩などにつかまらせてもらい、ゆっくり歩いてもらいましょう。また、段差や階段についても教えてもらいましょう。
  • 誘導を受けながら「避難所」内の受付、相談窓口、障害者エリアなどの場所を確かめておきましょう。


聴覚障害のある人は?
 不便なことがないかを調べ、改善について防災担当者に意見を伝えましょう。
  • 被害状況をどうやって知るか。
  • 近隣の人とのやりとりの方法、地域の自主防災組織や自治会からの指示の伝達
  • 「避難所」のスタッフとのやりとりの方法
  • 「避難所」への連絡掲示板やFAXの設置
  • 「避難所」への手話通訳者、要約筆記者の配置
  • 防災手帳に記入してあるメッセージ(「テレビやラジオで流される情報が分からないので、書いて伝えてください」)が伝わるか確かめてみましょう。


肢体不自由のある人は?
  • トイレが使えるかどうかの確認はとても大切です。実際に試用してみて改善すべき点があれば、防災担当者に具体的に伝えましょう。

    [チェック項目]
    今、備えられているトイレが使えるか
    何らかの用具があれば使えるようになるか
    (例) ポータブルトイレ、補高便座、安全手すり、移乗台など
    介助者にどこまで介助してもらえば使えるか
    介助できるトイレスペースがあるか
    具体的には、どこにどの程度のスペースがあればいいのか。そこでどのような方法でなら排泄ができるのか
    どうしても改善が難しい場合には、他の避難先を区市町村の防災担当といっしょに考える必要があります。
  • 「避難所」生活に必要になると考えられる物など(例えば、ベッド、褥創予防のためのマット、電動車いすの充電器、パンク修理のための材料、冷暖房の設備など)を整えてもらえるように防災担当者に依頼しましょう。
  • 車いすへ(から)の移乗の仕方、車いすの扱い方についても訓練の場を利用して説明し、実際に参加者に介助してもらいましょう。


内部障害のある人は?
呼吸器・心臓に障害のある人は?
  • 在宅酸素療法をしている人は、酸素の必要性や安全性、取り扱いなどについて、酸素供給企業の担当者に協力を得るなどして、周囲の人に理解を深めてもらうようにしましょう。
  • 「避難所」に、禁煙、安静、保温、保湿などの生活環境が整っているかを確かめておきましょう。不都合がある場合は、防災担当者に改善を求めましょう。

腎臓に障害のある人は?
  • 人工透析を受けている人は、震災発生時を想定して、医療スタッフの指導どおり、透析中の離脱訓練をしておきましょう。
  • 利用している透析医療機関のある地域の避難場所や避難経路を確かめておきましょう。
  • 腹膜透析の人は、治療を中断しなければならない場合を想定して、医療スタッフの指導を受け、具体的な対応などを訓練しておきましょう。

膀胱・直腸に障害のある人は?
  • 「避難所」にストマケアや導尿などができる空間があるか、プライバシーは守れるかなどを確かめてみましょう。不都合がある場合は、防災担当者に改善を求めましょう。

小腸に障害のある人は?
  • 経管栄養をしている人は「避難所」までの移動ができるか、「避難所」生活が送りやすい環境であるか、経管栄養ができるスペースはあるか、輸液製剤の保存ができるかなどを確かめておきましょう。


知的障害のある人の家族、援助者は?
  • 訓練に参加することによって、ふだんつきあいのない人との集団行動や、見知らぬ人からの声かけに馴れておきましょう。
  • 防災センターなどを利用して、揺れや煙の体験をして不安を和らげておきましょう。